「断熱等級7なら、夏も涼しくて快適なんでしょ?」
これから家を建てる方なら、そう思うのではないでしょうか。
断熱等級7は、現在の住宅の断熱性能における最高等級です。
断熱性能が高い。
気密性能もいい。
エアコンも設置されている。
だったら、夏も冬も快適なはず。
ところが、実際にはそうならない家もあるんです。
しかも今回ご紹介するのは、住宅建築に携わるプロの自宅です。
断熱等級7。
床下エアコンも設置されている。
それなのに、夏は暑い。湿気が気になる。夜も十分に眠れない。
そんな悩みを抱えていたご夫婦の住宅が、空調改善によって変わっていきました。
最終的にいただいた言葉は、
「毎朝春です」
さらに、冷たいハイボールの缶を見て驚いたという、面白い出来事までありました。
今回は、私が実際に現地へ伺い、空調改善のお手伝いをした住宅をご紹介します。
当時のメッセンジャーのやり取り、温湿度の測定記録、そしてご夫婦からいただいた感想を振り返りながら、改善の経過をお話ししたいと思います。
実は、この話には、私自身もうれしくなるような結末が待っていたんです。
今回ご相談いただいた方は、住宅建築に携わるプロの方です。
ご夫婦で家づくりに取り組み、ご自身の家にも高い性能を求めていました。
断熱等級7というのは、非常に高い断熱性能です。
断熱材を十分に施工し、熱の出入りを小さくする。
そこまで考えて建てた家なら、誰だって快適な暮らしを期待しますよね。
ところが、実際の夏は思うようにいきませんでした。
当時はエアコンを27℃前後に設定していたと記憶しています。
それでも暑さがつらく、体調が悪くなるような感覚もあったそうです。
断熱性能を高めたのに、なぜ快適にならないのか。
私は、ここが住宅業界の大きな課題だと思っています。
断熱性能が高いことと、実際に快適に暮らせることは、同じではないんです。
私はこれまで、多くの建築関係者と夏の空調について話してきました。
高気密・高断熱住宅をつくっている方でも、夏の空調には苦労している。
そんな話を何度も聞いてきました。
もちろん、全国に成功例がないという意味ではありません。
ただ、それほど夏の空調は難しいということを、私は長年感じてきたんです。
今回の住宅は、床下エアコンを採用した家でした。
床下エアコンは、冬の暖房で採用されることが多い方式です。
しかし、夏は暖房と同じ考え方だけではうまくいかないことがあります。
暖かい空気は上昇しやすい。
一方、冷たい空気は下にたまりやすい。
冬は床下から暖めることで、床の冷たさを和らげ、家全体を暖める方法があります。
ところが夏はどうでしょう。
冷たい空気を床下へ送っても、その空気が床下にたまり、居室へ十分に届かなかったら。
床下だけ冷えて、家の中は快適にならない。
さらに、夏は湿気の問題もあります。
温度が下がると相対湿度が上がり、条件によっては結露の危険も出てきます。
床下を冷やすことと、家全体を快適にすること。
この二つは、必ずしも同じではないんです。
冬の暖房でうまくいく仕組みが、夏の冷房でもそのままうまくいくとは限らない。
私は、ここをもっと考えなければならないと思っています。
その方には、加藤建築の家を実際に体験していただきました。
そして、こんなメッセージをいただきました。
「加藤さんの建物は入った瞬間、鈍感な自分でも気付く位違いがわかりました。」
さらに、室内環境のムラが少ないことについても、高く評価していただきました。
うれしかったですね。
私が目指しているのは、単にエアコンの冷たい風で涼しくすることではありません。
家の中の空気だけではなく、壁、床、天井の温度まで考える。
湿度も整える。
そして、風を直接感じなくても快適な環境をつくる。
それが、私が長年研究してきた家づくりです。
ご本人は、その違いを家に入った瞬間に感じてくれたんです。
私は、家の快適さというものは、実際に体験してもらうのが一番だと思っています。
私は実際にその方のご自宅へ伺い、空調の状態を確認しました。
エアコンの設置場所。
運転状況。
家の中の温度と湿度。
床下の状態。
空気の流れ。
建物全体で、熱がどう動いているのか。
そうしたことを現場で一つひとつ確認しました。
私はいつも思うんです。
建物の性能を数字で理解することは大切です。
でも、実際の家の中で何が起きているのかを知らなければ、空調はなかなかうまくいきません。
図面だけでも駄目。
計算だけでも駄目。
実際の建物で測って、確認して、考える。
そして、暮らしている人が快適かどうかを確かめる。
私は、そこを大切にしています。
ここは、私が長年研究してきた独自技術に関わるため、詳しい内容は公開しません。
ただ、一つだけお伝えしたいことがあります。
今回の改善では、大がかりな設備交換をしていません。
新しいエアコンを何台も買い足したわけでもありません。
建物の状態を確認し、ほんの小さな工夫を加えました。
その工夫と、空調の運転方法の見直しを組み合わせたんです。
ご本人も、その方法には驚いていました。
大きな設備を追加したわけでもない。
それなのに、空調の状態が変わっていく。
私は、こういうことが本当に大切だと思っています。
高価な設備を増やす前に、今ある設備をどう生かすか。
どこに問題があるのかを見極めて、必要なところを改善する。
ほんの小さな工夫が、快適さに大きな違いを生むことがあるんです。
ただし、これはどんな住宅でも同じ方法で改善できるという意味ではありません。
建物ごとに状態が違うからこそ、正しい判断が必要になるんです。
ここで、一つ誤解してほしくないことがあります。
今回、私は床下エアコンを取り外したわけではありません。
使うのをやめたわけでもありません。
床下エアコンは、そのまま使っています。
しかも、床下を冷やさないようにしたのではありません。
床下も適切に冷やしながら、家全体が快適になるように空調を調整したんです。
つまり、もともとの空調システムを否定したわけではないんです。
大切なのは、設置されている設備の能力をどう引き出すか。
床下だけ冷やせばいいわけではありません。
床下を冷やしてはいけないわけでもありません。
床下を適切に冷やしながら、家全体の熱と湿気をどうコントロールするか。
そこに技術が必要なんです。
今回の住宅では、既存の設備を生かしながら運転方法と空調環境を見直しました。
私は、どの空調方式が優れているかを争いたいわけではありません。
今ある家を、どうすればもっと快適にできるのか。
それを考え、実際に改善することが私の仕事なんです。
改善の取り組みが始まり、さっそく報告が届きました。
それまでの冷房運転から、除湿を中心とした運転へ。
運転方法を見直し、建物の状態を確かめながら調整していきました。
ご本人から、こんなメッセージをいただきました。
「冷房より快適な感じがしました。」
まだ、改善の途中です。
それでも、最初の違いを感じてもらえました。
私は、この時点で終わりにはしません。
夏の空調は、外気温や湿度が変わると、建物の状態も変わります。
だからこそ、運転を続けながら測定し、確認していくことが大切なんです。
【写真①:改善初期のメッセンジャー】
改善の過程では、温湿度計を設置し、除湿運転中の状態を確かめていただきました。
私は、温度だけではなく、湿度を測ることが大切だと思っています。
夏の住宅では、室温が下がっていても湿度が高ければ、不快に感じることがあります。
さらに、冷たい場所に湿気が集まれば、結露の原因にもなります。
だから、測るんです。
温度も。
相対湿度も。
絶対湿度も。
実際の建物の状態を数字で確認する。
私は、こういう積み重ねこそが空調改善につながると思っています。
そして、2025年8月8日。
うれしい測定記録が届きました。
夜11時18分。
リビングの測定値です。
室温23.7℃。
相対湿度58%。
絶対湿度12.41g/m³。
露点温度14.9℃。
私は、この数字を見てうれしくなりました。
特に注目したのは、湿度58%という数字です。
夏の高断熱住宅は、温度だけ下げれば快適になるわけではありません。
室温23.7℃という涼しさ。
そして湿度58%という空気の状態。
温度だけではなく、湿気まで考えた空調調整の結果を、実際の数字で確認できたんです。
しかも、測定記録にはグラフも残っています。
測定された約1時間の範囲では、室温は23.7〜24.0℃。
湿度の表示は58%前後でした。
私は、こういう記録が大好きなんです。
「何となく涼しくなった」
それだけではありません。
本当に何度なのか。
湿度は何%なのか。
空気中には、どれくらいの水蒸気が含まれているのか。
それを、数字で確かめる。
もちろん、1回の測定だけで、家全体が一日中同じ環境だったとはいえません。
でも、この時間、このリビングで、ここまで整った状態を確認できたという事実は大切です。
【写真③:2025年8月8日23時18分・リビング23.7℃/58%/12.41g/m³】
この頃は、リビング以外の場所でも測定を続けていました。
別の記録には、
という数値も残っています。
そして、こんな報告も届きました。
「ここまで来ました!」
うれしかったですね。
同じ住宅でも、場所によって温度や湿度は違います。
だから、一つの測定値だけで全部を判断するのではなく、いろいろな場所の状態を確認することが大切なんです。
私は、ただ「涼しくなりました」という感覚だけで終わらせたくありません。
実際に測って、建物がどんな状態になっているのかを理解してもらう。
そのうえで、快適さを体験してもらう。
測定値と体感の両方を見る。
これが、私の考える空調改善です。
改善を進める中では、二酸化炭素濃度や温湿度を確認する測定器も活用しました。
この頃には、
という記録もありました。
私は、ご本人とエアコンの運転についても話しました。
エアコンが何台あるから電気代が高い。
1台だから必ず省エネ。
そんな単純な話ではありません。
大切なのは、それぞれのエアコンがどれくらいの力で運転しているか。
建物にどれくらいの熱が出入りしているか。
そして、その運転によって、家の中が本当に快適になっているか。
実際に弱い運転を組み合わせることで、複数台のエアコンでも消費電力を小さく抑えられる場合があります。
ただし、その効果は建物や運転条件によって変わります。
私は、設備の台数だけを見るのではなく、実際の運転状態を見ながら考えることを大切にしています。
8月23日には、床下吸気ガラリ下の測定結果が届きました。
温度21.4℃。
相対湿度67%。
絶対湿度12.56g/m³。
二酸化炭素濃度は403ppmでした。
私は、こういう記録が大切だと思っています。
温度だけ測っても分からないことがある。
相対湿度だけでも、分からないことがある。
なぜなら、相対湿度は温度によって変わるからです。
同じ量の水蒸気が含まれていても、空気の温度が下がると相対湿度は高くなります。
だから、絶対湿度も確認する。
どれくらいの水蒸気が含まれているのか。
露点温度はどのくらいなのか。
建物のどこに湿気がたまりやすいのか。
そこまで考える必要があります。
8月8日のリビングは湿度58%でした。
一方、8月23日の床下吸気ガラリ下では67%。
測定日時も場所も違いますから、単純な比較はできません。
でも、同じ建物の中でも、湿度環境をきちんと考える必要があることが分かります。
改善したからすべての場所が理想的な数値になった、というわけではありません。
だからこそ、私は測定を続けることが大切だと思っています。
改善を続ける中で、こんなメッセージもいただきました。
「信じるどころか、今も肌で感じてます!」
これは、本当にうれしかったですね。
どんなに性能の数字がよくても、暮らしている人が暑いと感じているなら、私の考える快適にはまだ届いていません。
逆に、自分の体で違いを感じてもらえる。
それが大切なんです。
家づくりは、難しい数字を並べるだけではありません。
暮らしている人が、自然に気持ちいいと感じる。
暑さや寒さに振り回されない。
私は、そこを目指しているんです。
改善を始めてから約1か月。
8月30日、ご本人からうれしいメッセージが届きました。
「今凄く良い環境で睡眠しております。」
「今までに無い位、体調も朝からスゴぶるよいです♪」
そして、こんな言葉がありました。
いやあ、うれしかったですね。
私は、ずっとこんな家をつくりたかったんです。
朝、目が覚めたときに、
「ああ、よく眠れたな」
そう思える暮らし。
夜、エアコンの風に当たりながら、暑い、寒いと我慢しなくてもいい。
自然に眠れて、朝を気持ちよく迎えられる。
そんな生活です。
加藤建築が掲げる「春の家」。
春のような快適さが、365日続く家。
今回、ご本人が自然に「毎朝春です」と表現してくれたことが、何よりうれしかったんです。
【写真⑦:8月30日「毎朝春です」のメッセンジャー】
改善後、さらにうれしいメッセージが届きました。
実は、快適さの変化を感じていたのは、ご主人だけではなかったんです。
ご夫婦で、こんな話をするようになったそうです。
「なんか違うね!快適だよね」
私は、この言葉が本当にうれしかった。
さらに、ご本人から詳しい感想をいただきました。
「涼しいのになんかベタベタするのが、ベタベタ感が無くなり、サラッとするに変わりました。」
「その為か、空気も違うように感じました。」
「湿度が昨年より下がりました。」
ここが大事なんです。
ただ室温が低いのではありません。
以前は、涼しいのに何だかベタベタしていた。
それが、サラッとした感じに変わった。
同じように涼しくても、湿度環境によって体感は違います。
私はずっと、温度だけでは快適は決まらないと説明してきました。
でも、それをご夫婦で実際に体験してもらえたんです。
しかも、今回の方は住宅建築のプロです。
ご自身で家を建てるほど、住宅についての知識と経験がある方です。
その方が、自分の家で快適さの違いを感じ、奥様と二人で喜んでくれた。
これが本当にうれしかった。
そして、メッセージにはこんな言葉もありました。
「正勝さんには、本当に、本当に感謝しています!」
「また、これからもアドバイスや考え方を教えてください」
私は、こういう言葉をいただくと、長年研究してきて本当によかったと思います。
【写真⑧:ご夫婦が「快適だよね」と話すようになったメッセンジャー】
実は今回、もう一つ面白い出来事がありました。
私は以前から、快適な室内環境について、こんな話をしていました。
「室内の湿度環境をきちんと整えると、冷たいジュースや飲み物にも、結露が起きにくくなるんですよ」
一般的に、夏に冷たいジュースやハイボールの缶をテーブルに置けば、表面に水滴がつきます。
コースターを敷いても、びっしょり濡れてしまうことがありますよね。
ところがある日、今回の方から写真が届いたんです。
冷たいハイボールの缶でした。
加藤さん、びっくりしました!
そんな驚きの報告です。
写真を見ると、缶の表面に目立った水滴が見られません。
以前に私が説明していた、冷たい飲み物の結露の話。
それを、今度はご自身の家で体験してくれたんです。
そして今回、改めていただいたメッセージの中にも、この話が書かれていました。
「冷やした飲み物の缶にたくさんの水滴が出にくくなりました。」
いやあ、うれしかったですね。
なぜ、こんなことが起こるのでしょう。
結露は、缶が冷たいという理由だけで起きるわけではありません。
空気中には、水蒸気が含まれています。
冷たい缶の表面温度が、その空気の露点温度より低くなると、水蒸気が水滴になります。
逆に、缶の表面温度が露点温度を下回らなければ、結露は起こりません。
つまり、室内の湿気を適切に管理することで、結露しにくい環境をつくることができるんです。
もちろん、どんなに快適な家でも、缶が十分に冷たければ結露することはあります。
でも今回、ご本人は実際に水滴が目立たない様子に驚き、その写真を送ってくれました。
これは、温度だけではなく湿度環境にも関心を持ってもらえた、うれしい出来事でした。
この頃の測定記録には、もう一つ興味深い数値が残っています。
8月30日には、
20.5℃、相対湿度69%、絶対湿度12.28g/m³。
そして、別の温湿度計では、
約24.1℃、相対湿度65%。
という表示がありました。
24.1℃・65%の空気の絶対湿度は、およそ14.2g/m³と計算できます。
測定場所によって、温度も湿度も違います。
同じ住宅でも、床下と居室、エアコンの近くと離れた場所では、空気の状態が異なる場合があります。
だから私は、一つの温湿度計の数字だけで判断しません。
温度も測る。
相対湿度も測る。
絶対湿度も確認する。
そして、住んでいる人がどう感じているかを確かめる。
数字と体感を、両方確かめるんです。
今回のハイボールの写真については、缶の表面温度を同時に測った記録ではありません。
そのため、これらの温湿度の数値だけで缶が結露しなかった理由を断定することはできません。
それでも、冷たい飲み物という身近な出来事が、湿度環境を考えるきっかけになったことは間違いありません。
私が湿度にこだわる理由は、冷たい飲み物を結露させないためだけではありません。
カビやダニが繁殖しにくい環境をつくりたいんです。
一般的に、湿度が60%を超えると、カビやダニが増えやすくなるといわれています。
私は、できるだけそういう環境をつくらないようにしたいんです。
カビが育つためには、水分、温度、栄養分、酸素などの条件が関係しています。
「じゃあ、酸素をなくせばいいんじゃないか?」
いやいや、それでは住んでいる人まで生きられなくなってしまいます(笑)。
そんなことはできません。
では、どうするか。
私が大切にしているのは、湿度を適切に管理し、新鮮な空気を取り入れ、湿気が一か所にたまらない環境をつくることです。
実は、空気中にはカビの胞子が存在しています。
見えないだけで、カビの胞子そのものは身近な環境にあります。
問題は、それが湿った場所に付着し、繁殖してしまうことです。
例えば、押し入れの奥、家具の裏、床下。
空気の流れが少ない場所。
湿気が長時間たまりやすい場所。
こうした場所で条件がそろうと、カビが増えやすくなります。
だから私は、室内の湿度だけではなく、建物の表面温度や空気の流れまで考えています。
ただし、室内の湿度計が60%以下だからといって、絶対にカビが生えないということではありません。
冷えた壁や床の表面では、局所的に湿度が高くなることもあるからです。
だからこそ、結露を防ぐことが大切なんです。
今回、8月8日のリビングでは湿度58%という記録が残りました。
これは、私が目指す湿度環境を考えるうえで、うれしい数値でした。
もちろん、別の日の床下では60%を超える記録もあります。
だから、家中どこでも同じ条件だとは考えません。
測定して、問題がないか確認し続けること。
その積み重ねが大切なんです。
私は、換気も大切にしています。
新鮮な外気を取り入れる。
室内の汚れた空気を排出する。
空気を適切に入れ替える。
でも、夏は外気そのものが湿っていることがあります。
だから、ただ窓を開ければいいという話ではありません。
換気と除湿を組み合わせて考える必要があります。
また、新鮮な空気を取り入れるだけでカビが消えるわけではありません。
大切なのは、水分がたまる場所をつくらないこと。
湿度を適切に管理すること。
必要な換気を確保すること。
そして、結露しやすい部分を把握することです。
温度を整える。湿度を整える。空気を入れ替える。
私は、この3つを一体として考えてきました。
カビやダニを完全になくすことはできなくても、増えにくい環境をつくることはできます。
私が目指しているのは、ただ涼しい家ではありません。
人が安心して、快適に暮らせる家なんです。
ここが、今回の最も大切な話です。
高断熱住宅は、外からの熱が伝わりにくい家です。
しかし、一度建物の中に熱がたまると、その熱を外へ逃がしにくい場合もあります。
夏の日射。
屋根や壁に蓄えられる熱。
室内で発生する熱。
そして湿気。
こうしたものを考えずにエアコンを運転しても、期待した快適さが得られるとは限りません。
特に床下エアコンでは、冷たい空気が下にたまりやすいという性質を考える必要があります。
ただし、だからといって床下を冷やしてはいけないわけではありません。
今回も、床下エアコンを適切に使いながら、家全体の快適さを改善したんです。
私は、断熱性能だけではなく、建物と空調を一体として考えています。
家をどう冷やすかではなく、家全体をどう快適な状態に整えるか。
ここが、私の研究してきたところです。
今回も、建物の状態を確認し、運転方法や空気の流れを見直しました。
そして、ご本人が実際に快適さの違いを感じる結果につながりました。
私は、快適という言葉を大切にしています。
例えば、夏の夜。
暑くて眠れない。
首のくぼみに汗がたまる。
背中もびっしょり。
朝起きても疲れが取れない。
そんな経験はありませんか。
人間の体は、寝ている間も体温を調節しています。
暑ければ汗をかき、熱を逃がそうとします。
でも、暑さのために何度も目が覚めていたら、十分に休めません。
だからといって、冷たいエアコンの風を直接体に当てて眠る。
今度は風が寒い。
布団をかぶる。
風が止まると、また暑い。
私は、そんな暮らしを変えたいんです。
あなたが暑いんじゃない。あなたの周りの環境が暑いから、あなたが暑く感じるんです。
天井が熱を持っている。
壁が暖まっている。
屋根裏に熱がこもっている。
そんな状況で、いくら扇風機やサーキュレーターを回しても、蓄えられた熱そのものが消えるわけではありません。
だから私は、人に冷たい風を当てる前に、建物全体の熱環境を整えることを考えています。
壁も床も天井も、できるだけ快適な温度にする。
湿度も整える。
そして、安心して眠れる環境をつくる。
私は、そんな家が本当の意味で快適な家だと思っています。
今回いただいた新しいメッセージには、もう一つ興味深い報告がありました。
「真夏、夜も稼働させたまま朝を迎えると寒いと感じるようになりました。」
これも重要な変化です。
以前は、夏の暑さがつらかった家。
それが今度は、夜間もエアコンを運転したまま朝を迎えると、寒いと感じるようになった。
つまり、冷やせばいいという話ではなく、どこまで冷やすか、いつ冷やすかという運転の調整も必要になったんです。
私は、空調は強く動かせばいいものではないと思っています。
必要なときに必要な分だけ動かす。
建物の状態を見ながら調整する。
そして、快適さを持続させる。
そこに、空調の面白さと難しさがあります。
暑さに困っていた家が、今度は冷やしすぎに注意する段階まで来た。
私は、この話を聞いて、今回の改善が実際の暮らしに大きな変化をもたらしたことを改めて感じました。
実は今回の方は、住宅を建てる仕事にも携わっています。
そして、ご自身の家で空調改善を体験した結果、私が開発してきた「魔法のエアコンシステム」を、今後の家づくりに採用してくださることになりました。
私は、これから長年培ってきた空調技術だけでなく、施工方法や運転調整、お客様への説明の仕方まで、伝えていこうと思っています。
自分の家で快適さを体験した人が、今度はほかのご家族にその快適さを届ける側になる。
これは、私にとって本当にうれしいことです。
私は、床下エアコンを採用している工務店を批判したいわけではありません。
実際、今回の住宅では床下エアコンをそのまま生かして改善しました。
今まで積み上げてきた技術に、さらに新しい考え方を加える。
そうすることで、もっと快適な家をつくれる可能性がある。
私は、そう考えています。
そして、ご夫婦からいただいた感謝の言葉。
これからも教えてほしいという言葉。
私は、その期待に応えたいと思っています。
今回の経験を含め、これまでさまざまな住宅の空調について相談を受けてきました。
高断熱の家なのに暑い。
床下エアコンがうまくいかない。
除湿ができない。
サーキュレーターを回しても快適にならない。
エアコンを何台も使っているのに、寝室が暑い。
そんな悩みを抱えている方がいます。
私は、こういう人たちの力になりたいと思っています。
そこで今、**「全館空調改善プログラム」**を準備しています。
すでに建っている住宅の空調を調査し、今ある設備を生かしながら、快適さを改善できる方法を探る取り組みです。
遠隔での相談。
写真や温湿度の測定記録の確認。
運転方法についての助言。
そして、必要に応じた現地訪問と調整。
こうした方法を考えています。
もちろん、すべての住宅が運転調整だけで改善できるわけではありません。
設備や建物そのものの改修が必要になる場合もあります。
でも、エアコンを新しく買い足す前に、できることがあるかもしれません。
私は、これまで培ってきた経験を、困っている方のために生かしたいと思っています。
私は、ずっと考えてきました。
快適って、何なんだろう。
断熱性能の数字がいいことなのか。
エアコンの能力が大きいことなのか。
それとも、ただ室温が低ければいいのか。
私は、そうではないと思っています。
朝、気持ちよく目覚める。
家の中で暑さや寒さを我慢しない。
風を直接浴びなくても快適でいられる。
湿度も整い、カビや結露が発生しにくい環境を目指す。
そして、少ないエネルギーで、その快適さを持続させる。
快適 → 健康 → 省エネ。
私は、この順番を大切にしています。
私はよく、こんなことを考えます。
「私は、壁に命を与えている。」
壁は、ただ家を囲うためだけのものではありません。
床も天井も、そこに暮らす人の快適さに関わっています。
建物そのものを、快適な環境づくりに生かしたい。
それが、私の家づくりの考え方です。
今回、断熱等級7の家で夏の暑さに悩んでいた方が、改善を続ける中でこう言ってくれました。
「毎朝春です」
この一言が、私には何よりうれしかった。
さらに、ご夫婦で、
「なんか違うね!快適だよね」
と話すようになった。
そして、冷たいハイボールの缶を見て驚いたという報告まで届いた。
温度を測る。
湿度を測る。
空気の状態を確認する。
そして、その環境の中で暮らしている人が、心から快適だと感じてくれる。
私は、そんな住宅をこれからも増やしていきたいと思います。
エアコン1台で365日続く快適。
それが、加藤建築の目指している家づくりです。
私は、快適な家に暮らすことが、幸せにつながると思っています。
暑さも寒さも我慢しなくていい。
夜はぐっすり眠れて、朝は気持ちよく目が覚める。
家族が自然に笑顔になり、「今日も快適だね」と言葉を交わす。
そんな何気ない毎日の積み重ねが、人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
快適だから、すべてが幸せになるわけではありません。
でも、快適であることは、幸せを感じる心の余裕をつくってくれる。
私は、そう信じています。
だから私は、ただ家を建てているのではありません。
その家で暮らす人の、幸せな毎日をつくりたいのです。
加藤正勝
※本記事は、住宅所有者から匿名での事例紹介について了承をいただき、当時のメッセンジャー、測定記録、ご本人の感想をもとに構成しています。氏名・会社名・所在地・独自技術の具体的な方法は公開していません。
※温湿度の数値はそれぞれの測定場所・日時の記録であり、住宅全体の常時の環境を示すものではありません。睡眠や体調についてはご本人の感想であり、同様の効果をすべての住宅で保証するものではありません。