僕は、お客さんに昔からよくこう言っています。
「家は生きています」
最初は、だいたいびっくりされます。
「えっ、家が生きてるんですか?」って。
でも、僕の中ではずっと前から自然な感覚でした。
家は、ただの箱ではありません。
外が暑いか寒いか。
日射がどれだけ入るか。
風がどう当たるか。
湿気が多いか少ないか。
そういう外の影響を受けながら、
家の中の環境を何とか保とうとしている。
だから僕には、家がただ黙って立っているようには見えないんです。
ちゃんと反応しているし、ちゃんと影響を受けている。
だから、生きているみたいだなと思っています。
世の中では、快適さの話になると
すぐにエアコンの能力や台数の話になりがちです。
何畳用がいいのか。
何台必要なのか。
強く冷やせるのか。
強く暖められるのか。
もちろん、エアコンは大事です。
でも僕は、エアコンが主役だとはあまり思っていません。
快適を本当に支えているのは、
家そのものです。
もっと言えば、
断熱や躯体が、どれだけ家の中の状態を落ち着かせられるか。
そこが大事だと思っています。
エアコンは、家そのものが働くために
少し手助けをする道具です。
だから僕は、こんな言い方をします。
エアコンは、断熱に餌を与える道具です。
ちょっと変わった言い方に聞こえるかもしれません。
でも、わりと本質だと思っています。
断熱がしっかりしている家は、
与えた熱や冷たさをすぐに逃がしません。
壁、床、天井、窓まわり。
家全体が、少しずつその状態を受け止めて、保とうとします。
つまり、エアコンがただ空気だけをいじっているのではなく、
家そのものに少しずつエネルギーを与えているんです。
その餌がちゃんと断熱に入っていくと、
家はだんだん落ち着いてきます。
床だけが変に冷たい。
窓のそばだけヒヤッとする。
場所によって暑い寒いがバラバラ。
そういう暴れ方が減ってくる。
家が無理をしなくなる。
家全体が穏やかになってくる。
ここが今日一番言いたいところです。
エアコンで断熱に餌を与える。
すると、家が少しずつ落ち着く。
そしてその結果、空気も落ち着いてくる。
この順番なんです。
普通は、空気を直接どうにかしようと考えがちです。
風をもっと回そう。
強く吹かせよう。
温度をもっと下げよう。
もっと暖めよう。
でも僕は、
空気だけを直接いじろうとすると、
どこかで無理が出やすいと思っています。
風が強くなる。
当たる場所だけしんどくなる。
ムラが出る。
なんとなく落ち着かない。
それよりも、
まず家そのものを落ち着かせる。
家が落ち着けば、
その中にある空気も自然に落ち着いてきます。
温度のムラが減る。
空気が暴れにくくなる。
どこかだけ不快、が減っていく。
だから快適は、
空気を支配してつくるものではなくて、
家を落ち着かせた結果として生まれてくるものなんです。
冷暖房の世界では、
つい人に直接効かせたくなります。
暑いから強く冷やす。
寒いから強く暖める。
風を当てて何とかする。
でも、それはその場しのぎになりやすい。
その瞬間は効いたように感じても、
ずっと当たっていると疲れます。
寒い。
だるい。
乾く。
落ち着かない。
人の体は、意外と正直です。
だから僕は、
人に風を当てて快適をつくるより、
人がいる空間そのものを穏やかにしたいと思っています。
そのためには、
先に家を整えた方がいい。
家が落ち着いていれば、
空気も穏やかになる。
空気が穏やかなら、
人も無理をしなくてよくなる。
この順番が、僕は一番自然だと思っています。
ここもすごく大事です。
弱い家は、いくら餌を与えても苦しくなります。
エアコンを強く回しても、
どこかで逃げる。
ムラが出る。
無理が出る。
結果として、もっと餌が必要になる。
でも、しっかりした家は違います。
少ない餌でも、
穏やかに生きる。
少しエネルギーを与えるだけで、
家全体がそれを受け止めて、
環境を保ってくれる。
僕がやりたいのは、
まさにこっちです。
強いエアコンを自慢したいわけじゃない。
たくさんの設備を入れたいわけでもない。
少ない餌で、ちゃんと快適に生きられる家。
それをつくりたいんです。
ここでひとつ、はっきり言いたいことがあります。
僕がやってきたことを
「エアコン1台」という言葉だけで見てしまうと、
本質を外しやすいです。
大事なのは台数ではありません。
本当に大事なのは、
ここです。
だから、
ただエアコン1台を目指しても危ない。
先にやるべきなのは、
家そのものを整えること。
断熱がちゃんと働ける体をつくること。
その結果として、
エアコンの台数が減っていく。
僕はそう考えています。
春って、気持ちいいですよね。
暑すぎない。
寒すぎない。
風もきつくない。
体が頑張りすぎなくていい。
だから人は、自然にラクになります。
僕は、家の中もそうありたいと思っています。
無理やり冷やす。
無理やり暖める。
風で押さえつける。
そうじゃなくて、
家全体が穏やかで、
空気も穏やかで、
人が自然にラクでいられる。
そんな状態です。
言い換えると、
春みたいな感じを、家の中で365日に伸ばしたい。
そのために必要なのは、
空気を暴れさせることではなく、
まず家を落ち着かせることなんだと思います。
僕は昔から、お客さんに
「家は生きています」
と言ってきました。
最初はびっくりされます。
でも僕の中では、それが自然です。
家は、外の影響を受けながら、
中の環境を保とうとしている。
だから、ただの箱ではありません。
そしてエアコンは、
その家を助けるための道具です。
エアコンは、断熱に餌を与える道具。
断熱にちゃんと餌が入ると、
家が落ち着く。
家が落ち着くと、
空気も落ち着く。
だから僕は、
空気だけを直接いじろうとするより、
まず家そのものを整えたいと思っています。
少ない餌でも穏やかに生きられる家。
人が無理をしなくていい家。
家の中の空気まで自然に落ち着く家。
そんな家を、これからも考えていきたいと思っています。
このブログでは、快適な家づくりの考え方を中心に書いています。
ただ、実際の家は一棟一棟条件が違うので、具体的な設計のやり方や改善方法まではここでは書いていません。
革新的なことほど、表面だけ真似してもうまくいかないからです。
「うちの場合はどうなのか」「この計画で失敗しないか」を本気で知りたい方は、個別相談でお受けしています。
新築計画中の方も、今のお住まいで悩んでいる方も、お気軽にご相談ください。