家に帰っているのに、なぜか疲れが抜けない。
ちゃんと寝たはずなのに、朝から重い。
休んでいるつもりなのに、どこか落ち着かない。
家にいるのに、ほっとしない。
そんなことはないでしょうか。
こういう話をすると、
「年齢のせいかな」
「仕事が忙しいからかな」
「自分が疲れているだけかな」
と考える人が多いです。
でも、僕はそこにもうひとつ大事な原因があると思っています。
それは、
家そのものが、体を休ませにくい環境になっていることです。
暑すぎる。
寒すぎる。
足元だけ冷たい。
窓の近くがヒヤッとする。
風が顔や体に当たる。
部屋によって温度が違う。
乾燥しすぎる。
逆にジメジメする。
こういう一つひとつは、
小さいことに見えるかもしれません。
でも、体はそれを全部受け取っています。
そして、そのたびに
体温を保とうとしたり、
汗をかいたり、
血流を変えたり、
緊張したり、ゆるめたりしながら、
一生懸命バランスを取っています。
つまり、家の中にいても、
体はずっと働き続けていることがあるんです。
これでは、
休んでいるようで、
本当は休めていません。
室温が22度だから快適。
26度だから快適。
そういう単純な話ではないと、僕は思っています。
同じ温度でも、
落ち着く家と落ち着かない家があります。
同じ冷房でも、
ラクな家としんどい家があります。
なぜかというと、
人が感じているのは数字だけではないからです。
冷たい床。
冷える窓まわり。
直接当たる風。
部屋ごとのムラ。
見えない空気のよどみ。
こういうもの全部を、
人の体はちゃんと感じています。
だから快適とは、
温度計の数字を合わせることではなくて、
体が無理をしなくていい状態をつくること
なんです。
家にいるのに疲れる。
なんとなくイライラする。
眠りが浅い。
朝からスッキリしない。
ぼーっとする。
落ち着かない。
こういうことは、気持ちの問題だけではありません。
体がずっと環境に反応し続けていると、
知らないうちに消耗していきます。
その働きに深く関わっているのが、自律神経です。
自律神経は、
暑さ寒さに対応したり、
眠りや回復を支えたり、
体を無意識に整えてくれている大事な仕組みです。
でも、家の環境が悪いと、
この働きがずっと忙しくなる。
すると人は、
理由がはっきりしないまま、
少しずつ疲れていきます。
僕は、家はただ住めればいいとは思っていません。
雨風をしのげればいい。
暖房がついていればいい。
冷房があればいい。
それだけでは足りないと思っています。
家は、
外で頑張った人が戻ってきて、
やっと緩める場所であってほしい。
家に帰ったら、
体が少しずつゆるむ。
呼吸が深くなる。
肩の力が抜ける。
そのまま自然に眠くなる。
そんな場所であってほしいんです。
つまり家は、
人を戦わせる場所ではなく、人を回復させる場所であってほしい。
僕が「快適」を大事にしている理由は、そこにあります。
僕がずっと大事にしている順番があります。
それは、
快適が先。
その先に健康。
その結果として省エネ。
という順番です。
最初に省エネだけを考えると、
どこかで我慢が入ります。
でも、快適を本気で整えていくと、
人は無理をしなくてよくなる。
体がラクになる。
回復しやすくなる。
そして結果的に、
大きな設備や強い力に頼らなくてもよくなって、
エネルギーも減っていく。
春って、気持ちいいですよね。
暑すぎない。
寒すぎない。
風もやわらかい。
体に無理がない。
だから人は、
自然にホッとします。
僕は、この「春みたいな感じ」を
特別な季節だけで終わらせたくないんです。
春を365日に伸ばしたい。
それが、僕の家づくりの根っこにあります。
ただ暖かい家。
ただ涼しい家。
ではなくて、
体が無理をしなくていい家。
人が自然に回復していける家。
そこを目指したいんです。
家にいるのに疲れるのは、
あなたの気合いが足りないからでも、
弱いからでもありません。
もしかしたら、
家そのものが、
体を休ませにくい環境になっているのかもしれません。
人は、家の中でもずっと環境の影響を受けています。
暑さ。
寒さ。
風。
温度差。
空気の質。
そういうもの全部に、体は反応しています。
だから本当に大事なのは、
見た目だけではなく、
数字だけでもなく、
体が無理をしなくていい環境をつくることです。
家が回復する場所になれば、
人はもっとラクに生きられます。