最近、チラシや広告で
「エアコン1台で家じゅう快適」
みたいな言葉を見かけることが増えてきました。
今日も見ました。
そして、見た瞬間に思いました。
ああ、これじゃ無理だな。
もちろん、僕は人を批判したいわけじゃありません。
でも、こういうのはやっぱり言わなきゃいけないと思うんです。
エアコン1台というのは、そんなに軽く言える言葉じゃない。
ただ熱交換換気をつけて、
ただエアコンを1台にして、
それで家じゅう快適になります、なんて、そんなに甘くありません。
無理なものは無理です。
少なくとも、普通の考え方のままでは無理です。
僕から見ると、ここが一番大事です。
エアコン1台というのは、軽く言える言葉じゃありません。
軽く言えるなら、まだその中身の重さが見えていないのかもしれません。
それくらい、このテーマは難しい。
言葉で言うのは簡単です。
でも実際には、考えなければならないことが山ほどあります。
断熱。
気密。
換気。
空気の流れ。
日射の扱い。
夏の熱の止め方。
冬の熱の残し方。
そして、エアコンの使い方そのもの。
そういうものが全部つながって、
やっと見えてくる世界です。
エアコン1台で家全体を整える。
これは、目を引くための言葉じゃありません。
僕にとっては、ずっと追いかけてきたテーマです。
不可能に見えることを、どうやったら可能にできるのか。
家で省エネを本気で突き詰めるなら、どこまでいけるのか。
そこをずっと考えてきました。
だからこそ、簡単には言えません。
むしろ、今まで散々考えてきた僕だからこそ言えます。
普通のやり方では無理。
普通の発想では無理。
普通の使い方では無理。
どこかで必ず破綻します。
たぶん、ここが落とし穴です。
冬だけなら、何となくいけてるように見えることがあります。
でも問題はそこじゃない。
夏です。
夏をどう処理するか。
ここが甘いと、一気に苦しくなります。
冬はこれでいける。
でも夏は別の方法が必要。
それでも足りなくて、また何か足していく。
たぶん、そういう家はどんどん増えると思います。
最初は「エアコン1台」と言っていたのに、
気がつけば別の機械が増えていく。
使い方も複雑になる。
それで本当にお客様が楽になるのか。
僕はそこに大きな疑問があります。
これが本当に危ないところです。
同じように
「エアコン1台」
と書いてあっても、中身は全然違うことがあります。
言葉だけ見れば同じ。
でも実際は、考え方が違う。
設計が違う。
空気の整え方が違う。
快適のつくり方が違う。
僕は、体に風を当ててごまかすような快適は違うと思っています。
本当に大事なのは、空間そのものを整えることです。
人を狙って風を当てるんじゃない。
壁も床も天井も、家全体をゆっくり整えていく。
人の体温を奪いすぎない環境をつくる。
そういうところまで行かないと、僕の中では本物じゃありません。
だから、表面だけ真似して
「うちもエアコン1台です」
と言うのは危ないんです。
この話で一番まずいのは、
後で困るのが売る側じゃなくて、お客様だということです。
「話が違う」
「夏が地獄」
「結局また機械が増えた」
「こんなはずじゃなかった」
そうなった時に苦しむのは、お客様です。
今、実際に夏の暑さや空調のことで困っている人はたくさんいます。
暑い。
眠れない。
風がつらい。
エアコンを増やしたのに解決しない。
そういう話が増えていくと、
本来価値のあるはずの言葉まで信用を失ってしまいます。
だから僕は、最初から軽く言っちゃダメだと思うんです。
僕にとってエアコン1台というのは、流行りの言葉じゃありません。
夢です。
家で省エネを本気で突き詰めるなら、
ここが一つの究極だと僕は思っています。
でも、究極だから難しい。
不可能に近いから、追いかける価値がある。
簡単じゃないから、ずっと考え続ける意味がある。
だから、雑に言いたくないんです。
ただ熱交換換気をつけました。
ただエアコン1台にしました。
だから家じゅう快適です。
そんな単純な話じゃない。
そんなことでできるなら、誰も苦労しません。
ここは誤解してほしくないんですが、
僕は何が何でも1台じゃなきゃダメだと言いたいわけじゃありません。
本当に大事なのは、
その家が本当に快適かどうか です。
無理して1台に見せる必要はない。
1台と書くことが目的になったら、おかしくなります。
極端な話、1台じゃなくても、ちゃんと快適ならいい。
でも、もし本当に1台でやると言うなら、
それは相当深いところまで考え抜かれていないといけない。
僕はそう思っています。
今、世の中では、言葉だけが先に広がることがあります。
でも、それで本当に困る人が出るなら、
誰かが「そんなに簡単じゃないよ」と言わなきゃいけない。
僕は、そういう役目も必要だと思っています。
本当のことを言うと嫌がられる。
正体をばらすと煙たがられる。
でも、だからといって黙っていたら、また同じことが繰り返される。
それは、良くないと思うんです。
僕は、人を叩きたいわけじゃない。
ただ、お客様に後から苦しんでほしくないだけです。
だからもう一回、はっきり言います。
そのやり方では、僕でもエアコン1台は無理です。
エアコン1台というのは、
そんなに軽く言える言葉じゃない。
本当にやるなら、
考え方も、設計も、空気の扱いも、使い方も、
全部変えなきゃいけない。
僕はこれからも、そこをごまかさずに言っていきたいと思っています。
言葉だけじゃない。
本当に成立する快適をつくる。
僕がやりたいのは、そこです。