最初は、正直ちょっと笑ってしまいました。

家のまわりに、室外機がずらっと並んでいる。
見た瞬間に、
「うわ、なんだこれ」
と思うような家です。

でもそのあと、笑えなくなりました。

なぜかというと、これは特別な話ではないからです。
今の家づくりの考え方をそのまま進めていくと、こうなりやすいのだと思うからです。

補助金制度そのものが悪いと言いたいわけではありません。
ただ、補助金を取りにいく設計や、数字をきれいに合わせにいく設計では、結果として設備を増やす方向に寄りやすい。

部屋と部屋を細かく区切る。
階段の上や下に扉をつける。
その場所だけ暖房する。
いない場所は消す。

そうやって、家全体ではなく、場所ごとに機械で快適をつくる。
そんな考え方の延長線上に、あのたくさんの室外機があるように、僕には見えます。

けれど、僕がやりたいのは、そういう家ではありません。

僕が目指しているのは、少ない力で、家じゅうを快適にすることです。

部屋ごとにバラバラに快適をつくるのではなく、
玄関を開けた瞬間から、廊下も、階段も、脱衣場も、寝室も、家全体が自然に整っていること。

一瞬だけ暖かいとか、
一瞬だけ涼しいとか、
そういう快適ではありません。

僕がつくりたいのは、365日続く快適です。

だから、設備をどんどん増やして、その場その場を何とかする方向には、どうしても違和感があります。

もちろん、機械が悪いわけではありません。
エアコンも換気も必要です。
でも、それを増やすことが家づくりの中心になってしまったら、何かが違う。

僕は、家電に頼り切って快適をつくるより、
家そのものの力を高めたい。

断熱。
気密。
換気。
熱の流れ。
壁、床、天井、空気の整い方。

そういう土台をちゃんとつくったうえで、
少ない力で家じゅうを整えていく。
それが僕の考える家づくりです。

だから僕は、
「こんなに機械を増やすくらいなら、家そのものにお金をかけたい」
と強く思います。

エアコンを増やせば、たしかにその場所は何とかなるかもしれません。
でも、それは本当に家の力でしょうか。
本当にそこで、心まで落ち着く快適がつくれるのでしょうか。

僕はそこに、何10年ずっと疑問を持っています。

実際に相談に来られる方の中には、
高気密高断熱だと言われた。
性能がいいと言われた。
補助金も使った。
でも、住んでみたら全然快適じゃなかった。

そんな話が少なくありません。

だからこそ、家を建てる前に知っておいてほしいのです。

数字がいいことと、快適であることは同じではありません。
設備が多いことと、暮らしやすさも同じではありません。

見た目に室外機がたくさん並んでいる家を見ると、最初は笑ってしまうかもしれません。
でも本当は、笑い話で終わらせちゃいけない。

そこには、
「家をどう考えるか」
という思想の違いが、はっきり表れているからです。

僕は、家を部屋の集まりだとは思っていません。
家はひとつの空気であり、ひとつの環境であり、ひとつの暮らしだと思っています。

だから、いる場所だけ何とかする家ではなく、
家全体が自然に整っている家をつくりたい。

エネルギーを力いっぱい使って快適にするのではなく、
できるだけ少ない力で、家じゅうを快適にする。

それが、これからの家づくりだと僕は思っています。

もしこれから家にお金をかけるなら、
室外機の台数にお金をかけるより、
家そのものの性能と思想にお金をかけた方がいい。

その方が、ずっと夢がある。

僕は、本気でそう思っています。

MENU
PAGE TOP