快適研究室18 快適は、エアコンの台数で決まるんじゃない
快適研究室18快適は、エアコンの台数で決まるんじゃない
「エアコン1台で全館空調」
この言葉だけが一人歩きすると、
どうしても勘違いが生まれます。
すごい機械を入れればできる。
強いエアコンを1台入れれば何とかなる。
間取りを工夫すれば届く。
吹き出しを考えればいける。
そんなふうに思われることがあります。
でも、僕は正直に言うと、
その考え方では、僕でもエアコン1台は無理です。
なぜかというと、
快適はエアコンの台数で決まるものではないからです。
本当に大事なのは、
人の体から熱が奪われにくい環境ができているかどうか。
ここなんです。
家の中で起きていることは、思ったより単純です
人は、暑い寒いを頭で考える前に、
体が先に感じています。
床に触れた瞬間。
壁の近くに行った瞬間。
窓のそばに立った瞬間。
風が当たった瞬間。
「なんか寒い」
「なんか落ち着かない」
「なんかだるい」
こういう感覚は、気のせいじゃありません。
体温が奪われている。
あるいは、奪われそうになっている。
その反応を、体が勝手に受け取っているんです。
つまり、快適とは
ただ室温が何度か、という話ではありません。
自分の体が無理をしなくていい環境になっているか。
そこが本質です。
たとえば、鉄と断熱材の話です
鉄と断熱材があったとします。
温度計で測ると、どちらも同じ温度だったとします。
でも、手で触ると鉄は冷たく感じて、
断熱材はそれほど冷たく感じません。
足で触っても同じです。
これは、鉄そのものが特別冷たいわけではなくて、
自分の体温が一気に奪われるから冷たく感じるんです。
逆に断熱材は、
体温を奪いにくい。
だから「温かい」と感じます。
ここがものすごく大事です。
快適とは、
何かを熱くすることでも、
何かを強く冷やすことでもなくて、
体温が奪われにくい環境をつくること
なんです。
だから、床を熱くしなくても快適はつくれます
よく「快適にしたいなら床暖房が必要ですよね」と言われます。
でも、僕はそこを少し違う角度で見ています。
床を熱くしないと快適になれない家は、
そもそも体から熱が逃げやすい家なのかもしれません。
本当に目指したいのは、
床を熱くしなくても、
壁を熱くしなくても、
強い風を当てなくても、
人が自然にラクでいられる状態です。
これができてくると、
必要な暖房も、冷房も、少なくなっていきます。
つまり、
快適を深くつくっていくほど、
設備は大げさじゃなくてよくなる。
ここが面白いところです。
僕は最初から「エアコン1台」を目指したわけではありません
ここも大事なので、はっきり書いておきます。
僕は最初から、
「絶対にエアコン1台でやるぞ」
と無理に目指してきたわけではありません。
そうじゃなくて、
どうしたら暑くないか。
どうしたら寒くないか。
どうしたら人がラクか。
どうしたら体が緊張しないか。
どうしたら春みたいな感覚を長く保てるか。
それを少しずつ考えて、
少しずつ積み上げてきた結果、
エアコン1台でいけるところまで来たんです。
順番が逆ではないんです。
最初に「1台」があるんじゃない。
最初にあるのは、快適の研究です。
最近は、この順番が逆になっている気がします
最近は
「エアコン1台で全館空調できますか」
という言葉だけが先に来ることがあります。
でも、そこだけを先に目標にすると、
かなり危ないです。
なぜなら、
体温が奪われる原因が残ったまま、
設備だけで何とかしようとするからです。
そうなると、
風が強くなる
温度差が残る
一部だけ暑い・寒い
どこかで無理をする
結局、機械の力を増やす
という方向に行きやすい。
これでは、本当の意味での快適には近づきません。
むしろ遠ざかることさえあります。
先にあるべきなのは、省エネではなく快適です
ここも、僕がずっと大事にしている順番です。
先にあるのは、省エネではありません。
先にあるのは、快適です。
快適がある。
その先に健康がある。
その結果として、省エネがある。
この順番です。
最初から省エネだけを目標にすると、
どこかで我慢が始まります。
でも、本当に快適ができてくると、
人は無理をしなくてよくなるし、
家も余計なエネルギーを使わなくなっていく。
だから僕は、
省エネを先に置くより、
まず快適を突き詰めたいと思っています。
エアコン1台は、ゴールではなく結果です
エアコン1台という言葉は、
たしかにインパクトがあります。
でも、本当に伝えたいのはそこではありません。
伝えたいのは、
体温が奪われにくい家は、人をラクにする。
ラクな家は、人を回復させる。
その結果として、少ないエネルギーで暮らせる。
ということです。
エアコン1台は、
その考えを突き詰めた先に見えてきた
ひとつの結果でしかありません。
だから、
台数だけを真似しても届かないし、
快適の本質を外したままでは、うまくいきません。
まとめ
快適は、
エアコンの台数で決まるものではありません。
快適は、
人の体が無理をしなくていい環境があるかどうかで決まります。
体温が奪われにくい。
暑さ寒さに追い込まれない。
風を直接当てなくてもラク。
家にいるだけで、少しずつ回復していく。
そんな家を真剣に考えていった先に、
「エアコン1台でもいける」が見えてきます。
だから僕は、
最初から1台を追いかけるより、
快適の本質を追いかけた方がいいと思っています。
その方が、
結果的に少ないエネルギーで、
もっと自然で、もっと健康で、もっと気持ちいい暮らしに近づけるからです






