私は、ずっと思っていることがあります。
それは、
私たちが本当にやろうとしていることは、まだ教科書にちゃんと載っていない
ということです。
家づくりには、
たくさんの教科書があります。
構造のこと。
法律のこと。
断熱のこと。
気密のこと。
設備のこと。
申請のこと。
数字のこと。
もちろん、どれも大事です。
知らなければ家はつくれません。
でも、
その先にある
本当に人が快適に暮らせる家とは何か
ということになると、
私はまだ十分に言葉になっていないと感じています。
夏にどうすれば本当に苦しくないのか。
冬にどうすれば本当に無理をしなくてすむのか。
風がつらくないとはどういうことか。
どこにいても落ち着くとはどういうことか。
家が人を回復させるとはどういうことか。
そういう話は、
数字だけでは説明しきれません。
もちろん、断熱も気密も大事です。
でも、それだけでは足りない。
除湿の考え方。
空気の流れ。
表面温度。
温度ムラ。
人がどう感じるか。
体がどう反応するか。
こういうことまで全部つながって、
初めて「快適」が見えてきます。
でも私は、
このあたりの話になると、
まだ世の中の教科書は薄いと感じています。
だからこそ、
現場で考えるしかなかったのだと思います。
実際に家をつくって、
実際に暮らしを見て、
実際に暑い寒いの苦しさを聞いて、
どうしたらもっと楽になるのかを、
何度も何度も考えてきました。
うまくいったこともある。
失敗したこともある。
その中で少しずつ、
「本当に快適な家とはこういうものかもしれない」
という輪郭が見えてきたように思います。
私は、
快適は簡単な話ではないと思っています。
だからこそ、
マニュアルどおりでは届かない。
教科書どおりでは足りない。
現場で積み上げるしかないことがある。
私たちがやっているのは、
たぶんそういうことです。
教科書に載っている答えをそのままなぞるのではなく、
まだ言葉になりきっていない快適を、
現場で確かめながら形にしていくこと。
それは遠回りに見えるかもしれません。
時間もかかるし、簡単ではありません。
でも私は、
家づくりで本当に大事なことほど、
そうやってしかたどり着けないのではないかと思っています。
だって、
家は人が暮らす場所だからです。
数字が暮らすわけではない。
理屈だけが住むわけでもない。
そこで暑い寒いを感じ、
疲れたり休まったりするのは人です。
だから私は、
教科書に載っていることを大切にしながらも、
そこに載っていないことまで見なければいけないと思っています。
家の本当の快適さは、
まだ世の中で語り尽くされていない。
私はそう感じています。
だからこそ、
これからも現場で考え続けたい。
もっと人が楽になる家を探し続けたい。
まだ教科書に載っていない快適を、
少しずつ形にしていきたい。
私はそう思っています。
本当に快適な家づくりは、まだ教科書の途中なのかもしれません。だから私は、現場で考え続けたいと思っています。