床暖房がいらない理由

床が冷たいから温める。
寒いから床暖房を入れる。
一見すると当たり前に聞こえるかもしれません。
でも私は、その発想自体がまだ足りないと思っています。
技術も足りない。発想も足りない。

本当に必要なのは、床をあとから温めることではありません。
最初から床が冷たく感じない家をつくることです。

鉄を触ると冷たい。
断熱材を触るとあたたかい。

でも、実はどちらも同じ温度です。

違うのは温度ではなく、熱の奪い方です。
鉄は人の手の熱をすぐに奪う。
だから冷たく感じる。
断熱材は熱を奪いにくい。
だからあたたかく感じる。

これは足でもまったく同じです。
床が冷たいのは、床の温度だけの問題ではありません。
足の熱を奪われるから冷たいのです。
逆に言えば、足の熱を奪わない床にできれば、床は無理に温めなくてもあたたかく感じます。

つまり、床暖房が必要なのではありません。
床を温めるエネルギーそのものがいらない家にすること。
そこまで考えてこそ、本当の技術であり、本当の省エネだと私は思います。

ただ、ここまでは、たぶん多くの人には想像がつかないと思います。
床暖房がいらない。
寒い時期でも、そこまでしなくて大丈夫。
そう言われても、普通は信じられない。
想像がつかなくて当たり前です。

なぜなら、日本では床暖房はずっと“憧れ”として語られてきたからです。
あったかくて快適で、高級で、理想の設備。
そんなイメージを持っている人が本当に多いと思います。
でも現実はどうか。
ものすごいエネルギーを使い、ものすごい光熱費がかかり、請求書を見て驚く。
そして、あまりの負担に翌月から床暖房を止めたら、一気に寒くてつらくなる。
それでは、本当の快適とは言えません。

私は、こういう流れをどこかで切らなければいけないと思っています。
そうしないと、消費者がかわいそうです。
憧れて入れた設備が、毎月の大きな負担になり、やがて使うのが苦しくなる。
そんな家づくりを、当たり前のように続けてはいけないと思うのです。

今はまだ、日本はエネルギーを使えるから成り立っている部分もあります。
でも、もし何かあったらどうなるのか。
戦争や世界情勢の変化で、原油やエネルギーが今まで通り入ってこなくなったらどうなるのか。
ただでさえ多くのエネルギーを使う家が、さらに負担を抱えたとき、本当に暮らしを守れるのか。
私はそこまで考えたいと思っています。

家は、どんな時代でも人を守る場所でなければならない。
だからこそ、最初からエネルギーを大量に使うことを前提にした快適ではなく、
できるだけ少ないエネルギーで、無理なく、静かに、自然に快適が続く家をつくらなければいけない。
それが本当の意味で、人にやさしい家だと思います。

そして、その快適は、言葉だけではなかなか伝わりません。
想像がつかないからです。
だから私は、見てほしいと思う。
体験してほしいと思う。
そして実際に入った瞬間に、すごい、と感じてほしい。
それが本当だと思っています。

床暖房がなくても寒くない。
むしろ、床暖房に頼らないほうが、もっと自然で、もっとやさしくて、もっと省エネに快適が続く。
そんな家が本当にあることを、体で知ってほしい。
それが、私たちがつくっている家です。

床暖房は、冬には使えても、夏には使えません。
結局、夏はまた別に冷房が必要になります。

設備を増やせば、そのぶんお金もかかります。
でも、本当に大切なのは、季節ごとに機械を足して快適をつくることではなく、
春も、夏も、冬も、できるだけシンプルに快適が続く家をつくることだと、私たちは考えています。

 

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